世界初、素粒子ミュオンの冷却?加速に成功?ミュオン加速元年、ついにミュオン加速器の実現へ~
ポイント
- 素粒子ミュオンを加速器で加速できると、素粒子物理学や物質生命科学、地球科学など、さまざまな分野での活用が期待されます。ミュオンは、ミュオンg-2/EDM実験と呼ばれる素粒子標準理論のほころびの超精密検証実験などに有用ですが、加速は技術的に難しく、成功例はありませんでした。
- 加速器を用いて人工的につくったミュオンは、向きや速さのばらつきが大きく上記のような実験に適しません。しかしプラスの電荷を持つミュオン(ミュオンの反粒子の正ミュオン)なら、ほぼ止まるまでいったん減速して向きや速さをそろえる(冷却する)ことができます。今回、正ミュオンを改めて光速の約4%まで加速することに世界で初めて成功しました。
- 研究グループではこれまで冷却?加速技術の開発を続けてきており、今回初めて、素粒子ミュオンそのものの冷却?加速ができることを示しました。標準理論の超精密検証実験を始めるための大きな一歩となります。加速ミュオンを用いた全く新しいイメージングによって、ミュオン顕微鏡、文理融合研究などさまざまな応用も検討されています。
図1.向きや速さがそろっていない正ミュオンビームをいったん冷却し、改めて加速する模式図
高エネルギー加速器研究機構(KEK)、岡山大学、名古屋大学、九州大学、茨城大学、日本原子力研究開発機構、本学の共同研究グループは、J-PARC物質?生命科学実験施設(MLF)のミュオン実験施設において、ミュオンの冷却技術、高周波加速技術を組み合わせることで、正ミュオンを光速の約4%まで加速する技術の実証に成功しました。
研究内容の詳細
世界初、素粒子ミュオンの冷却?加速に成功?ミュオン加速元年、ついにミュオン加速器の実現へ~(PDF:0.6MB)
本学の共同研究者
理学部 早坂圭司教授、佐藤優太郎助教、福村省三特任助教
本件に関するお問い合わせ先
広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp