次世代ICTに関する研究 -5G、IoT、その先へ-
社会を変える力を持つ情報通信技術 その進歩を支える理論研究
ICT(情報通信技術)は私たちの生活に身近なものとなった。例えばスマートフォンには携帯電話としての機能だけでなく、Wi-Fiと呼ばれる無線LANをはじめとした様々な無線通信機能が搭載されている。メールや画像、動画、ウェブ、多種多様なアプリケーションが扱え、このような用途において、無線通信は高速化と大容量化を目指すのが一つのトレンドである。
「移動通信の分野では5Gのサービスがスタートし、超高速での大容量データ通信が可能になっていきます。各端末からの発信力が飛躍的に上がることで、相互通信の性能が向上したり、離れていても高精度の機械操作が可能になります。後者は遠隔医療などへの応用が期待されています」
一方、最近注目されているIoT(モノのインターネット)では、センサを取り付けた端末から様々な情報が吸い上げられ、そのデータをもとに新たなサービスが生み出されることが予想される。
「今後IoTの普及と共に、無数に散在する情報端末を数年単位で維持しながら、通信の信頼性をどのように確保するかという新たな課題も生じています」
佐々木重信教授は、このような課題を解決するためのワイドバンド(広帯域)無線通信システムの研究に取り組んでいる。並列組合せスペクトル拡散方式の理論研究、UWB(ウルトラワイドバンド)無線通信技術の基礎研究など、IoT向け通信技術の先駆けとなる研究に取り組むと共に、UWB利用の国際的ガイドラインの作成や広域無線通信ネットワークの国際標準化にも貢献している。
「信頼性の高い情報伝送を実現する技術の研究と同時に、今使われている無線周波数の有効活用、通信におけるエネルギー消費に着目した持続可能な無線通信システムの創造も研究室の大きなテーマです。データを送る際の約束事ともいえる情報通信技術の進歩は新たなデータ社会を作る鍵であり、私たちの生活スタイルを変える絶大な力があります。特に5Gについては社会に展開していく上で、使う側となる様々な分野の人々がもつアイディアが重要になります。私たちは最先端の研究を通して得た専門的な知見と技術からそれを支える役割があると思っています。通信技術の進歩は確実に社会の姿を変えていくのです」
周辺の無線端末の電波からエネルギーを獲得し、無線センサネットワークの長期運用を狙った「Wireless Poweredセンサネットワーク」のイメージ
無線周波数有効利用のための周波数利用データベースの研究
プロフィール
素顔
現在はコロナ禍により制限された海外出張。学会などが行われる都市の街歩きは、佐々木教授にとって見聞を広げる貴重な時間であった。思い出深いエジプトのピラミッドとともに撮影。
※記事の内容、プロフィール等は2022年2月当時のものです。
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掲載誌
この記事は、新潟大学季刊広報誌「六花」第39号にも掲載されています。