次世代の社会参画への期待
新潟大学教員によるコラム“知見と生活のあいだ“
あなたは選挙に行って投票していますか? 若年層の投票率の低さが話題となっていますが、実は20歳代の投票率は、1969年第32回衆議院議員総選挙より各世代別投票率の中で最低を続けています。これまで小学校?中学校?高等学校では、投票の大切さや社会参画の必要性を授業のなかで取り上げており、特に2016年の参議院議員選挙から18歳選挙権が実施され、小中高校における主権者教育に対して注目が集まっています。
私の専門は、中等教育における意思決定型学習の開発です。総務省の主権者教育アドバイザーとして、高等学校などへの主権者教育の研修?講演など支援を行っています。現在1日の多くを学校の中で生活する児童?生徒は、その環境を与えられたものとして享受し、これまで自らその改善などに取り組む機会は与えられてきませんでした。社会参画に対する意識の醸成に、児童会?生徒会活動は大変有効です。自分自身が生活する社会(学校や地域)に目を向けさせ、社会参画意識を育成する重要性が再認識されています。現在、選挙管理委員会などが中心になり、主権者教育の出前講義が小中高校で実施されています。小学校では休み時間の学年別の体育館の使い方、中学?高校では校則の見直しや部活動?学校行事などの詳細の決定など、これまで教師中心に行われてきた学校内での意思決定に対して、児童?生徒が主体的に取り組むテーマを出前講義に取り入れています。
また、SNSなどのツールを使いこなしている若年層だからこそ、新しい形での社会参画を生み出し、これまでの社会参画の常識を越えることも可能です。現在全国に散らばっている小さな取り組み支援する取り組みを支援したり、賛同する人をネットワークでつなぐことも可能になっています。オンライン交流、クラウドファウンディングなどの多様なアイディアが、国内だけではなくグローバルに人を結びつけるなど、新しいスタイルの社会参画の時代が始まっています。
NIIGATA選挙カレッジによる高校での主権者教育模擬授業
プロフィール
※記事の内容、プロフィール等は2022年2月当時のものです。
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掲載誌
この記事は、新潟大学季刊広報誌「六花」第39号にも掲載されています。