地域医療DX共創イノベーションプロジェクトが国立病院機構新潟病院で新たに遠隔診療支援を開始します
本学の地域医療DX共創イノベーションプロジェクト(以下、NHDX:事業責任者 染矢俊幸理事?副学長(前医学部長))は、独立行政法人国立病院機構新潟病院(以下、新潟病院)に対する遠隔診療支援を開始しました。
今回の取組は、NHDXが最優先課題と位置付ける「医師不足?医師偏在対策」への具体的なアクションであり、移動負担や勤務時間の制約から医師の派遣が困難な地域医療機関に対し、オンライン診療技術を活用して、医師による診療支援を可能とする仕組みです。
この取組では、地域医療機関の医療機能を最大限に活かしつつ、以下の3点を重視しています:
- 患者さんにとっての利便性と安心感の向上
- 地域勤務医の負担軽減
- 派遣医師の拘束時間?移動負担の削減
これまでのオンライン診療では、主に「医師が患者を診る」形(Dr to Ptモデル)や、「医師が看護師を介して患者を診る」形(Dr to Pt with Ns)が一般的でした。今回導入しているNHDXモデルでは、これに加えて「医師が、看護師や現地の別の医師と連携して患者を診る」(Dr to Pt with Dr/Ns)という仕組みを取り入れています。この仕組みでは、看護師が現地の医療機関で診療を補助し、必要に応じて現地の医師と連携できる体制を整えています。これにより、現地の医療機関にある医療設備を十分に活用できるようになり、遠隔診療が対面診療の代わりになるだけでなく、地域の医療機関が持つ診療機能を維持?強化することにもつながります。現在、新潟県立松代病院、十日町病院、吉田病院など、複数の県立病院でこの仕組みの導入?拡充に向けた検討を進めており、将来的には新潟県立病院全体への展開を目指しています。
訪問診療のオンライン化にも着手
さらに、地域医療のもう一つの柱として、在宅医療のオンライン診療化も推進しています。燕医師会エリアにて、訪問看護と連携したオンライン診療のトライアルが7月開始に向けて準備中です。これにより、医療機関と在宅医療の両面でオンラインを活用し、水平?垂直両面での医療連携を強化します。地域全体で高品質な医療提供体制の実現を目指しています。
「NHDX Dr.バンク」による面的な医療支援体制の構築
NHDXでは、個別支援にとどまらず、新潟県医師会などと連携し、広域的な医師ネットワーク「NHDX Dr.バンク」を構築します。地域の多様な医療ニーズに柔軟かつ持続的に対応する“面的な医療支援体制”を目指すものです。
地域医療の未来を支える「7つの変革」と多機関連携
このプロジェクトは、「誰もが安心して暮らせる未来をつくる」ことを目指し、本学が構想する「7つの変革」の一環として推進されており、多機関がそれぞれの役割を担います:
- 本学はプロジェクトの中心(NHDX)として、デジタルでつなぐ地域医療の基盤を構築する。
- 地域の医療機関は、その病院を拠点にしたオンライン診療支援の展開を担う。
- 本学医歯学総合病院は、診療支援に参加する医師を確保し、現場支援体制を強化する。
- 新潟県医師会は、県医師会Dr. バンクを通じて会員への事業参加を呼びかけ、会員のNHDX Dr. バンクへの参加を促して、医師確保と地域医療提供体制を後押しする。
- 地元医師会?市町村は、訪問看護?介護システムとの連携を深め、在宅診療のオンライン化を推進する。
- 本学医学部?歯学部は、学生の実習参加を通じて未来医療人材の育成に貢献する。
- 今後の展開として、EHR(電子健康記録)?PHR(個人健康情報)の活用、地域資源の最適化、MaaSによる移動支援、産業連携など、地域包括ケアを見据えた持続可能な医療システムの構築を目指す。
今後に向けて
NHDXは、DX技術と医療現場の協働により、地域医療の質を高め、誰もが住み慣れた地域で安心して医療を受けられる社会の実現を目指しています。
NHDXの全体像
新潟病院での遠隔診療支援
本件に関するお問い合わせ先
社会連携課
E-mail kyoso@ccr.niigata-u.ac.jp