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歯周病の重症化機序を解明、治療薬候補も報告

2025年05月19日 月曜日 研究成果

本学大学院医歯学総合研究科の笹川花梨博士、土門久哲准教授、寺尾豊教授らの研究グループは、唾液や歯肉溝滲出液に含まれるタンパク質のSLPI(secretory leukocyte protease inhibitor)と感染症の関係に着目して実験を進めています。歯周病のモデル実験で、歯周病が重症化するとSLPIが減少することを明らかにしました。さらに、歯周病が重症化するモデル実験の際に、合成したSLPIを歯肉へ投与し正常量へ回復させることで、歯周病の重症化を抑制できることも報告しました。本研究成果は、2025年5月16日、国際科学誌「Communications Biology」のオンライン版に掲載されました。

本研究成果のポイント

  • SLPIはヒトの唾液や歯肉溝滲出液などに存在するタンパク質である。感染細菌を排除するヒトのタンパク質分解酵素(エラスターゼなど)が、誤ってヒト自身を傷害しないよう調節する働きがある。
  • マウスを用いた歯周病モデル実験において、重症化した歯周病部位ではSLPIが遺伝子レベルでもタンパク質レベルでも減少していることを明らかにした。
  • 歯周病の重症化部位では、SLPIの減少に伴いエラスターゼが活性化し、自己組織を傷害して過剰な炎症を引き起こすことを明らかにした。
  • SLPIの減少に伴い過剰な炎症が生じた歯周組織では、破骨細胞が活性化することで、骨が破壊される歯周病が進行し重症化することを明らかにした。
  • 合成したSLPIを重症化歯周病のモデルマウスの歯肉に投与すると、エラスターゼの活性とそれに伴う過剰炎症と骨の破壊が抑制されることを示し、SLPIが歯周病の治療薬候補となることを報告した。

研究内容の詳細

歯周病の重症化機序を解明、治療薬候補も報告(PDF:1MB)

論文情報

【掲載誌】Communications Biology
【論文タイトル】Secretory leucocyte protease inhibitor regulates bone metabolism and inflammation in experimental mouse periodontitis.
【著者】Karin Sasagawa, Hisanori Domon, Satoru Hirayama, Tomoki Maekawa, Toshihito Isono, Koichi Tabeta, and Yutaka Terao
【doi】10.1038/s42003-025-08197-3

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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