歯髄再生に重要な幹細胞を発見-歯の成長が歯髄再生に影響を及ぼすことを解明-
本学大学院医歯学総合研究科う蝕学分野大学院生の髙原信太郎歯科医師、本学医歯学総合病院歯の診療科の大倉直人講師、本学大学院医歯学総合研究科う蝕学分野の野杁由一郎教授らの研究グループは、血液を用いた歯髄(歯の神経)の再生治療では、歯の根が完成した歯では未完成の歯に比べて歯髄の再生に不利であること、歯髄の再生にはα-SMA陽性1)の間葉系幹/間質細胞(Mesenchymal Stem/Stromal Cells: MSCs)2)の遊走3)が重要であることを、動物モデルを用いて世界で初めて明らかにしました。本成果によって、これまでとは異なる、誰もが享受可能な新しい歯髄再生治療の提供へ一歩近づきました。
本研究成果は、2025年4月18日、科学誌「Journal of Dental Research」のオンライン版に掲載されました。
本研究成果のポイント
- 歯の根の成長は血液を用いた歯髄の再生治療後の治癒に影響を及ぼす。
- 歯の根が完成していると歯髄が再生されず、外部の組織が入り込む治癒結果になりやすい。
- 歯髄に近い組織の再生にはα-SMA陽性のMSCsの遊走が重要である。
- 誰もが享受可能な新しい歯髄再生治療の提供につながる研究成果である。
【用語解説】
(注1)陽性細胞
使用した抗体に対して反応を示した細胞を陽性細胞と呼びます。
(注2)幹細胞
絶えず入れ替わる組織を維持するために、新しい細胞を産生し補充する能力を持つ細胞。特に間葉系幹細胞は骨、脂肪、軟骨、ならびに神経細胞に変化する(分化)することができる細胞を指します。
(注3)遊走
今回はMSCsが特別な場所、すなわち歯髄再生が行われる根管内に移動することを指します。
研究内容の詳細
歯髄再生に重要な幹細胞を発見-歯の成長が歯髄再生に影響を及ぼすことを解明-(PDF:1MB)
論文情報
【掲載誌】Journal of Dental Research
【論文タイトル】Influence of Tooth Maturity on Healing Outcomes in Regenerative Endodontics
【著者】Shintaro Takahara, Naoto Ohkura, Nagako Yoshiba, Rosa Baldeon-Gutierrez, Susan Gomez-Kasimoto, Naoki Edanami, Takako Ida, Shoji Takenaka, Kunihiko Yoshiba, Yuichiro Noiri
【doi】10.1177/00220345251325
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