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「日本酒のラグジュアリー概念」を提唱-環境保全と地域づくりを核とする地酒づくり-

2025年02月12日 水曜日 研究成果

本学経済科学部の石塚千賀子准教授らの研究グループは、ラグジュアリー専門の国際学術誌「Luxury: History, Culture, Consumption」において、地酒に焦点を当てた日本酒固有のラグジュアリー概念(注1)を初めて発表しました。
ラグジュアリー(luxury)は「豪華な」「贅沢な」等と訳される表現ですが、日本酒は、商業的にラグジュアリーという言葉やニュアンスで宣伝されるようになった一方、その学術的な定義はされていません。他方で、ワインの先行研究では、ラグジュアリー?ワインと呼べる要件として、6つの真正性要件(正統性?スタイルの一貫性?品質へのこだわり?生産地との関係?生産方法?商業的配慮の軽視)が明示されています。本研究は事例研究を通じて、地酒づくりがこの要件を包摂しながらも、ワインとは異なる核をもつことを示しました。それは、ラグジュアリー?ワインの要件である真正性の核は製品ですが、地酒づくりの核には環境保全と地域づくりが据えられていることです(左図ワイン?右図地酒)。これこそが、地酒に代表される、日本酒固有のラグジュアリー概念といえます。本研究成果は、ワインと地酒のもつ文脈的な価値を比較し、日本酒の独自性を論じた数少ない研究のひとつです。

本研究成果のポイント

  • ラグジュアリー専門の国際学術誌において、日本酒のラグジュアリー概念を初めて提唱しました。
  • ラグジュアリー?ワインの要件は「製品」にある一方、日本酒のラグジュアリー概念の核は「環境保全と地域づくり」であることを提唱しました。
  • 蔵元が“あたりまえ”としてきたCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)の様相が言語化されました。
【用語解説】

(注1)ラグジュアリー概念:ラグジュアリーの定義は、研究者間でコンセンサスが得られていませんが、その消費に関する研究ではいくつかの共通点があります。例えば、それは機能的な必需品を超えた品々を指し、威信、富を象徴し、審美性をもつことや感情的な喜びをもたらすことです。アルコール消費の文脈でもラグジュアリー概念は議論され、例えば、食としての伝統的な機能を超えて、美的要素や喜びを取り込んでいることです。このようなイメージは、購買前の顧客歓喜を想起させ、高い支払意志額を導く効果があります。

研究内容の詳細

「日本酒のラグジュアリー概念」を提唱-環境保全と地域づくりを核とする地酒づくり-(PDF:0.6MB)

論文情報

【掲載誌】Luxury: History, Culture, Consumption
【論文タイトル】Luxury Concepts for the Future of Tradition-Bound Products: Cases of Japanese Saké Breweries
【著者】石塚千賀子、曽國哲、佐藤裕美
【doi】10.1080/20511817.2024.2437904

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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