3世代(親、兄弟姉妹、祖父母)にわたり2型糖尿病の親族がいる人の2型糖尿病有病リスクは、まったくいない人の約20倍
~2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の有病?発症リスクに対する親族内罹患状況(家族歴)の詳細な影響を健診大規模データにより解明~
本学大学院医歯学総合研究科血液?内分泌?代謝内科学分野の池田和泉客員研究員、藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授らの研究チームは、人間ドック受診者約4万人において、代表的な生活習慣病である2型糖尿病、高血圧、脂質異常症に関する詳細な「家族歴(親族における疾患発生状況)」が、各疾患を現在持っている(=有病)リスク、あるいは将来起こす(=発症)リスクに及ぼす定量的な影響を、それぞれ横断解析、縦断解析により解明しました。
本研究成果は、2025年1月29日、国際学術誌「Mayo Clinic Proceedings」に掲載されました。
本研究成果のポイント
- 健診大規模データを活用し、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症について、家族歴の影響を詳細に検討した。
- 横断解析では、3疾患いずれについても、何らかの家族歴がある人は、ない人と比較して2~3倍の有病リスク上昇がみられ、その影響度は、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧の順に強かった。
- 3疾患いずれについても、親族内罹患者数が多いほど有病リスクが上昇した。その傾向は、特に2型糖尿病で他2疾患より著しく、家族歴がない人と比較した有病リスクは、罹患親族数2人で約6倍(他2疾患では約3倍)、同3人以上では約12倍(他2疾患では約4倍)、3世代にわたる家族歴が存在する場合には約20倍に達した。
- 家族歴と肥満はいずれも、しかも相加的に各疾患の有病リスクを上昇させた。特に高血圧の家族歴を有しBMI30.0kg/m2以上の肥満の人の高血圧有病リスクは、家族歴がなくBMI正常(5-24.9kg/m2)の人の約19倍高かった。
- 縦断解析による発症リスクの比較では、2型糖尿病が他2疾患より家族歴の影響を強く受けることが判明した。
研究内容の詳細
論文情報
【掲載誌】Mayo Clinic Proceedings
【論文タイトル】Cross-sectional and Longitudinal Associations Between Family History of Type 2 Diabetes Mellitus, Hypertension, and Dyslipidemia and Their Prevalence and Incidence: Toranomon Health Management Center Study (TOPICS24)
【著者】Izumi Ikeda, Risa Igarashi, Kazuya Fujihara, Yasunaga Takeda, Efrem d?vila Ferreira, Khin Lay Mon, Satoru Kodama, Yasumichi Mori, Takashi Kadowaki, Ritsuko Honda, Yasuji Arase, Hirohito Sone
【doi】10.1016/j.mayocp.2024.10.020
本件に関するお問い合わせ先
医歯学系総務課
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