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舌の発生メカニズムを解明-口-顔-指症候群Ⅰ型における舌異常の発症メカニズムの解明を通して-

2024年10月16日 水曜日 研究成果

本学大学院医歯学総合研究科口腔解剖学分野の川崎真依子准教授、大峡淳教授らの研究グループは、口-顔-指症候群Ⅰ型(Oral facial digital syndrome TypeⅠ)で認められる舌の形態異常や過誤腫の発症メカニズムの検索を通して、中胚葉細胞注1と神経堤細胞注2の相互作用が、舌の発生における中胚葉細胞の正しい分化や正確な細胞遊走に必須であること、一次線毛注3の機能によるHhシグナルが中胚葉と神経堤細胞の相互作用に関与することを明らかにしました。
本研究成果は、2024年10月11日、国際学術雑誌「eLife」に掲載されました。

本研究成果のポイント

  • 中胚葉と神経堤細胞間の相互作用が、中胚葉細胞の筋細胞への分化を誘導する。
  • 中胚葉と神経堤細胞間の相互作用には、Hhシグナルが関与する。
  • 中胚葉と神経堤細胞間の相互作用の不具合は、中胚葉細胞を本来なるべき筋細胞ではなく、褐色脂肪細胞へと分化誘導する。
  • 舌本体と舌小帯注4の形成における細胞遊走の方向が異なる。
  • 口-顔-指症候群Ⅰ型においては、細胞の分化や遊走の異常が、X染色体の不活性化によってランダムに生じるため、患者における症状の程度や部位に差が生じる。
【用語解説】

(注1)中胚葉細胞
発生中の初期胚において、外胚葉と内胚葉の間を埋めるように発達した細胞群の名称。

(注2)神経堤細胞
脊椎動物の初期発生において表皮外胚葉と神経板の間に一過性に形成される細胞群の名称。様々な細胞種に分化するため第四の胚葉とも言われる。

(注3)一次線毛
細胞表面から外側に向けて突出している1本の不動性の構造体。

(注4)舌小帯
舌の下面から下顎の歯肉の内側に連続している索状のひだ。

研究内容の詳細

舌の発生メカニズムを解明-口-顔-指症候群Ⅰ型における舌異常の発症メカニズムの解明を通して-(PDF:2.0MB)

論文情報

【掲載誌】eLife
【論文タイトル】Cell-cell interaction determine cell fate of mesoderm-derived cell in tongue development through Hh signaling
【著者】Maiko Kawasaki, Katsushige Kawasaki, Finsa Tisna Sari, Takehisa Kudo, Jun Nihara, Madoka Kitamura, Takahiro Nagai, Vanessa Utama, Yoko Ishida, Fumiya Meguro, Alex Kesuma, Akira Fujita, Takayuki Nishimura, Yuan Kogure, Satoshi Maruyama, Jun-ichi Tanuma, Yoshito Kakihara, Takeyasu Maeda, Sarah Ghafoor, Roman H. Khonsari, Pierre Corre, Paul T. Sharpe, Martyn T. Cobourne, Brunella Franco, Atsushi Ohazama
【doi】10.7554/eLife.85042

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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