このページの本文へ移動
  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 重粒子線照射が口腔がん3次元モデルに与える細胞生物学的影響を解明-異種放射線治療評価の標準化システムの構築-

重粒子線照射が口腔がん3次元モデルに与える細胞生物学的影響を解明-異種放射線治療評価の標準化システムの構築-

2024年08月08日 木曜日 研究成果

本学?学院医?学総合研究科?体組織再??学分野の泉健次教授、同顎顔面口腔外科学分野の内藤絵里子歯科医師と、岡山大学中性子医療研究センターの井川和代准教授(特任)の研究グループは、量子科学技術研究開発機構の下川卓志グループリーダー、濱野毅次長との連携により、重粒子線(炭素線)照射がヒト口腔がんと口腔粘膜3次元インビトロモデル(3Dモデル(※1))に与える細胞生物学的影響を明らかにしました。
本研究成果は、2024年8?7?、国際学術誌「In Vitro Cellular & Developmental Biology – Animal」に掲載されました。

本研究成果のポイント

  • 世界をリードする日本の粒子線がん治療(※2)のさらなる発展には、生体に発生するがんを効果的に再現した有用な生物学的評価モデルの確立が望まれています。
  • 3次元培養は2次元培養よりも生体内の細胞の状態に近いため生体内環境を再現した環境の確立に適しており、本研究グループはこれまで口腔がんや口腔粘膜の3Dモデルを構築してきました。
  • 本研究では重粒子線(炭素線)照射が口腔がん組織に与える細胞増殖や細胞死などに関する生物学的影響を、3Dモデルを用いて評価することに成功しました。
  • この知見は、様々ながん放射線治療評価システムの標準化へつながることが期待されます。
【用語解説】

※1 3Dモデル
従来から用いられている培養皿上で細胞を単層培養する2次元(2D)培養に対して、縦方向の厚みをもたせて細胞を培養する手法を3次元(3D)培養といい、ヒトの細胞を用いて立体的に細胞培養してヒト組織を模倣した構造体をモデルといいます。

※2 粒子線がん治療
X線と異なり、加速した粒子がからだの中をある程度進んでから停止直前に急激に高いエネルギーを周囲に与えるという性質があり、その性質を利用してがん病巣部周囲のみに高いエネルギーが与えられるので、X線治療と比較するとがん病巣部により高い量の放射線を照射することができます。陽子線や中性子線などがあります。本研究で用いた炭素線(重粒子線)は陽子より12倍重い炭素粒子を用いているため、線量集中性と生物効果の両面において、がん治療に適した性質を有しています。

研究内容の詳細

重粒子線照射が口腔がん3次元モデルに与える細胞生物学的影響を解明-異種放射線治療評価の標準化システムの構築-(PDF:1.0MB)

論文情報

【掲載誌】In Vitro Cellular & Developmental Biology – Animal
【論文タイトル】The effects of carbon-ion beam irradiation on three dimensional in vitro models of normal oral mucosa and oral cancer: Development of a novel tool to evaluate cancer therapy
【著者】内藤絵里子、井川和代、髙田翔、羽賀健太、Yorchan Witsanu、Orakarn Suebsamarn、小林亮太、山﨑学、田沼順一、濱野毅、下川卓志、冨原圭、泉健次
【doi】10.1007/s11626-024-00958-4

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

他のニュースも読む