老化に伴う骨粗鬆症等における骨の再生?回復に働く物質を特定-歯周病や骨粗鬆症の治療薬開発促進に期待-
本学大学院医歯学総合研究科高度口腔機能教育研究センター/研究統括機構の前川知樹研究教授、前田健康教授、同研究科微生物感染症学分野の寺尾豊教授、同研究科歯周診断?再建学分野の多部田康一教授、ならびに北里大学大村智記念研究所の砂塚敏明教授、廣瀬友靖教授らの研究グループは、米国ペンシルベニア大学、ドイツドレスデン工科大学との国際共同研究を実施し、マクロライド系抗菌薬注1とマクロライド系抗菌薬から合成した非抗菌性誘導体EM-523が、骨の再生?回復に働くことを歯周病と骨粗鬆症の老齢動物モデル実験で明らかにしました。本成果により、歯周病や骨粗鬆症などの骨が加齢とともに減弱する疾患に対し、有効な薬剤の開発研究が促進されます。
本研究成果は、2024年1月16日、国際学術誌「iScience」に掲載されました。
本研究成果のポイント
- マクロライド系抗菌薬および誘導薬EM-523は、骨再生に重要なDEL-1を誘導する。
- これら薬剤の7日間の投与により老化で減少した歯を支える骨を再生させる。
- これら薬剤の8週間の投与により、老化による骨粗鬆症を改善させる。
- 老化に伴い減少した骨の再生剤や骨粗鬆症の治療薬としての展開が期待される。
【用語解説】
(注1)マクロライド系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬は、細菌などのタンパク質合成を阻害し、細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬剤。これまでにいくつかのマクロライド系抗菌薬に抗炎症作用があると報告されていた。本研究で使用しているのはそのうちのエリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシン。
研究内容の詳細
老化に伴う骨粗鬆症等における骨の再生?回復に働く物質を特定-歯周病や骨粗鬆症の治療薬開発促進に期待-(PDF:0.3MB)
論文情報
【掲載誌】iScience
【論文タイトル】A Novel Macrolide–Del-1 Axis to Regenerate Bone in Old Age(老齢期の骨再生におけるマクロライド-DEL-1の新機軸)
【著者】Kridtapat Sirisereephap, Hikaru Tamura, Jong-Hyung Lim, Meircurius Dwi Condro Surboyo, Toshihito Isono, Takumi Hiyoshi, Andrea L. Rosenkranz, Yurie Sato-Yamada, Hisanori Domon, Akari Ikeda, Tomoyasu Hirose, Toshiaki Sunazuka, Nagako Yoshiba, Hiroyuki Okada, Yutaka Terao, Takeyasu Maeda, Koichi Tabeta, Triantafyllos Chavakis, George Hajishengallis, Tomoki Maekawa*
*corresponding author
【doi】10.1016/j.isci.2024.108798
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