非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態と脳内ペプチド動態の関与を解明
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態には、肥満や糖尿病など様々な要因が複雑に関与し、多くの臓器にも合併症を引き起こします。そして、世界的にもその患者数が増加の一途をたどっていることから、全身を診る視点でその病態を解明する必要があります。
今回、本学医学部医学科総合診療学講座/大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野の上村顕也特任教授、同分野の永山逸夫(大学院生)、寺井崇二教授らの研究グループは、NAFLDの病態に脳内ペプチド(注1)の動態が関与していることを解明しました。
本研究成果のポイント
- NAFLDは全身臓器にも合併症を引き起こす疾患で、明確な病因は未解明です。
- 今回、NAFLDの発症や進展に、肝臓、脳、腸を繋ぐ自律神経経路(注2)が関与していることを明らかにしました。
- 胃から分泌されるグレリン(注3)が、神経伝達により下垂体から成長ホルモンを放出させること、血液の流れにのった成長ホルモンが肝臓からインスリン様成長因子1を分泌させることによりNAFLDの進行を制御していることを解明しました。
- NAFLDの病態初期に、脳内ペプチドが、成長ホルモンとインスリン様成長因子1経路を活性化し、生体防御メカニズムを機能させることを明らかにしました。
【用語解説】
注1:脳内ペプチド
脳内に存在する、神経伝達や精神活動を仲介する生理活性ペプチドのことです。ペプチドとは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合した化合物のことです。
注2:自律神経経路
交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成される末梢神経経路です。内臓の機能を調節する遠心性経路と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性経路の2つの経路から成り立ちます。
注3:グレリン
胃で産生されるホルモンです。食欲に関連しています。
研究内容の詳細
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態と脳内ペプチド動態の関与を解明(PDF:0.7MB)
論文情報
【掲載誌】Hepatology International
【論文タイトル】Complementary Role of Peripheral and Central Autonomic Nervous System on Insulin-Like Growth Factor-1 Activation to Prevent Fatty Liver Disease
【著者】Itsuo Nagayama, Kenya Kamimura, Takashi Owaki, Masayoshi Ko, Takuro Nagoya, Yuto Tanaka, Marina Ohkoshi, Toru Setsu, Akira Sakamaki, Takeshi Yokoo, Hiroteru Kamimura, and Shuji Terai
【doi】10.1007/s12072-023-10601-1
本件に関するお問い合わせ先
医歯学系総務課
E-mail shomu@med.niigata-u.ac.jp
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