Stevens-Johnson症候群?中毒性表皮壊死症の新しい予後予測スコアCRISTENを開発-既往歴?臨床所見だけで予後を予測できる-
本学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野の濱菜摘講師、阿部理一郎教授、環境予防医学分野の中村和利教授らの研究グループは、国内および海外の研究機関との共同研究で致死的重症薬疹であるStevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症(注1)に対する新たな予後予測スコア(CRISTEN)を開発しました。このスコアは発症時に既往歴と皮膚の所見のみで予後を予測できるもので、国際検証により血液検査が必要な既存のスコアと同等の精度が確認されました。今後、日本国内の利用だけでなく、血液検査が速やかに行えない国や地域での活用も期待されます。
本研究成果のポイント
- Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症は未だ致死率の高い医原性疾患であり(それぞれ4%、30%)、重症度にあわせた早期治療が必須です。
- 既存の予後予測スコアは20年以上前に作成されたものや、血液検査が必要であったり、心拍数のような不安定な検査項目で構成されており、臨床現場では使いにくいスコアでした。
- 今回本研究グループは2018年に実施された日本国内の調査の結果をもとに、現在の医療水準に合致し、かつ既往歴や臨床所見のみで簡便に算出できる予後予測スコアを開発しました。さらに日本以外の7か国の機関で検証し、高い精度も確認しました。今後の国際的な臨床応用が期待されます。
【用語解説】
(注1)Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症
薬剤が原因でおこる薬疹のうち最重症の疾患。高熱とともに、眼や口などの粘膜がただれ、皮膚は紅斑?水疱ができて容易に剥ける。
研究内容の詳細
Stevens-Johnson症候群?中毒性表皮壊死症の新しい予後予測スコアCRISTENを開発-既往歴?臨床所見だけで予後を予測できる-(PDF:0.6MB)
論文情報
【掲載誌】The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice
【論文タイトル】Development and Validation of a Novel Score to Predict Mortality in Stevens-Johnson Syndrome and Toxic Epidermal Necrolysis: CRISTEN
【著者】Hama N*, Sunaga Y*, Ochiai H, Kokaze A, Watanabe H, Kurosawa M, Azukizawa H, Asada H, Watanabe Y, Yamaguchi Y, Aihara M, Mizukawa Y, Ohyama M, Hashizume H, Nakajima S, Nomura T, Kabashima K, Tohyama M, Hasegawa A, Takahashi H, Mieno H, Ueta M, Sotozono C, Niihara H, Morita E, Brüggen MC, Feingold IM, Jeschke MG, Dodiuk-Gad RP, Oppel EM, French LE, Chen WT, Chung WH, Chu CY, Kang HR, Ingen-Housz-Oro S, Nakamura K, Sueki H, Abe R**
【doi】10.1016/j.jaip.2023.07.001
*:These authors contributed equally to this work
**:corresponding author
本件に関するお問い合わせ先
医歯学系総務課
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