口腔粘膜上皮角化細胞の運動?増殖を制御する分子メカニズムの解明-再生医療に用いる細胞の効率的培養につながる分子基盤-
本学?学院医?学総合研究科?体組織再??学分野の泉健次教授、同?医?学総合病院顎顔面口腔外科の小林亮太医員らの研究グループは、北海道大学大学院先端生命科学研究院の芳賀永教授、石原誠一郎助教との連携により、口腔粘膜上皮角化細胞(※1)の運動能と増殖能を制御する分子メカニズムを明らかにしました。
本研究成果は、2023年6?4?に国際学術誌「FEBS Open Bio」のオンライン版に掲載されました。
本研究成果のポイント
- 本研究グループは、これまで再生医療の細胞資源として注目される口腔粘膜上皮角化細胞の増殖能が、画像解析により細胞運動能を非侵襲的に評価することで可能であることを立証し、細胞品質管理ツールとしての将来性が見込まれています。
- 一方で、口腔粘膜上皮角化細胞の運動能と増殖能を制御する分子生物学的メカニズムの解明までは至っていませんでした。
- 本研究により、EGF/EGFR/Src/PI3K/Akt/mTORのシグナル伝達経路によって口腔粘膜上皮角化細胞の運動能と増殖能が制御されていることを突き止めました。
- この知見は、再生医療における細胞製品製造中に本シグナル経路を活性化することで、細胞の効率的培養法や大量細胞技術へつながることが期待されます。
【用語解説】
※1 口腔粘膜上皮角化細胞
口の中の粘膜や歯ぐきを覆っている、一番表層にある細胞。皮膚に例えると「皮がむけた」時の“皮”にあたる細胞。
研究内容の詳細
口腔粘膜上皮角化細胞の運動?増殖を制御する分子メカニズムの解明-再生医療に用いる細胞の効率的培養につながる分子基盤-(PDF:0.9MB)
論文情報
【掲載誌】FEBS Open Bio
【論文タイトル】The EGF/EGFR axis and its downstream signaling pathways regulate cultured oral keratinocyte motility and proliferation
【著者】小林亮太、干川絵美、佐藤大祐、Suebsamarn Orakarn、内藤絵里子、鈴木絢子、石原誠一郎、芳賀永、冨原圭、泉健次
【doi】10.1002/2211-5463.13653
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