M87巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤とジェットの同時撮影に初めて成功
国立天文台、本学等の研究者らが参加する国際研究チームは、波長3.5mm帯で観測する地球規模の電波望遠鏡ネットワークを用いて、楕円銀河M87の中心部を詳しく観測しました。その結果、巨大ブラックホールの周囲に広がる降着円盤の撮影に初めて成功するとともに、ジェットの根元の構造をこれまでで最も高い視力で捉えました。本成果は、巨大ブラックホールに落ち込むガスから莫大な重力エネルギーが解放される現場を初めて直接的に捉えるとともに、ブラックホールジェットの駆動メカニズム解明にも弾みがつくと期待されます。研究成果は、英国の科学雑誌「Nature」に2023年4月26日付で掲載されました。
研究成果の詳細
本研究成果発表の共同発表機関
自然科学研究機構国立天文台、大阪公立大学、工学院大学、総合研究大学院大学、東京大学宇宙線研究所、八戸工業高等専門学校、新潟大学
海外の共同発表機関
上海天文台、台灣中央研究院天文及天文物理研究所、マックスプランク電波天文学研究所、韓国天文研究院、アメリカ国立電波天文台、マサチューセッツ工科大学ヘイスタック観測、他
本学の共同研究者
大学院自然科学研究科?創生学部 小山翔子 助教
小山助教のコメント
「グリーンランド望遠鏡(GLT)で実際の観測に参加しました。GLTは2018年から観測ネットワークに参加し、データ品質の向上に貢献したことで、降着円盤の初撮影に繋がりました。同年から、イベント?ホライズン?テレスコープ(EHT)にも参加しているので、今後はブラックホール撮影においても新たな発見に繋がると期待しています。」
波長3.5mm帯の国際電波望遠鏡ネットワークによって得られたM87中心部の電波画像。
(画像クレジット:Lu et al. 2023; composition by F. Tazaki)
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広報事務室
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