透析導入率が高い世代は、男性1940-60年代?女性1930-40年代生まれ-最も高かったのは、男性1967-71年?女性1937-41年生まれ-
透析導入(注1)率は加齢で高くなりますが、生まれた年(世代)の影響はこれまで検討されていませんでした。そこで、本学大学院医歯学総合研究科臓器連関学講座の若杉三奈子特任准教授らの研究グループは、1902~2001年に生まれた人で世代と透析導入率の関連を検討しました。その結果、年齢や時代の影響とは別に、透析導入率は1900年代初め生まれよりもその後に生まれた人で高くなり、男性は1940-60年代頃、女性は1930-40年代頃生まれでピークとなり、その後、低下していました。最も高かったのは、男性は1967-71年生まれ、女性は1937-41年生まれでした。その理由は不明ですが、これらの年代に生まれた人は、透析導入率が高いことから、積極的な腎臓検診の受診勧奨が必要かもしれません。
本研究成果のポイント
- Age-period-cohort(APC)分析(注2)という、年齢?時代?世代の影響に分けて評価する解析手法で、生まれた年(世代)と透析導入率の関連を検討した。
- 男女とも透析導入率は世代により異なり、加齢や時代の影響とは別に、透析導入率は男性1940-60年代頃、女性1930-40年代頃生まれでピークとなった。
- 透析導入率が最も高かったのは、男性1967-71年、女性1937-41年生まれで、その理由は不明だが、これらの年代に生まれた人は、透析導入率が高いことから、積極的な腎臓検診の受診勧奨が必要かもしれない。
【用語解説】
(注1)透析導入とは、CKDが進行し、腎臓の機能が低下した状態(末期腎不全)に至ったため、透析療法を開始されたことを意味します。なお、透析療法を経ずに、腎移植が行われる場合もありますが、日本では極めて少数例です。
(注2)Age-period-cohort分析とは、ある集団全体における経年変化を、加齢による影響(Age効果)、集団全体が受ける時代による影響(Period効果)、そして加齢や時代の影響ではない出生コホート(世代)特有の影響(Cohort効果)に分離して、それの影響を評価する解析手法です。
研究内容の詳細
透析導入率が高い世代は、男性1940-60年代?女性1930-40年代生まれ-最も高かったのは、男性1967-71年?女性1937-41年生まれ-(PDF:1.0MB)
論文情報
【掲載誌】Clinical and Experimental Nephrology
【論文タイトル】Birth cohort effects in incident renal replacement therapy in Japan, 1982-2021
【著者】Minako Wakasugi, Ichiei Narita
【doi】10.1007/s10157-023-02345-x
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