従来の定説を超える超伝導-独自の超高感度装置で実証-
超伝導は、電気抵抗がゼロとなる現象です。初めて発見されたのは110年前ですが、当時は、高価な液体ヘリウムが必要でした。35年ほど前に安価な液体窒素で超伝導となる「高温超伝導物質」が発見され、その後、着実に実用化が進展しています。一方、どのような「カラクリ」で高温超伝導となるのか、については未だ明確な答えはありません。それでも「銅と酸素からなる平面構造が超伝導の駆動源だ」ということだけは、定説として広く認識されてきました。今回、本学自然科学系の佐々木進准教授、大阪大学大学院基礎工学研究科の椋田秀和准教授、青山学院大学理工学部物理科学科の下山淳一教授、琉球大学理学部物質地球科学科の與儀護准教授らの研究グループは、この定説を超える超伝導を、独自の超高感度装置で実証することに成功しました。つまり「物質としては確かに超伝導となるのに、平面構造は電気を流さない状態にある」ことを実証したのです。
本研究成果のポイント
- これまで超伝導にならない、と信じられてきた2種類の物質を、ハイブリッド構造にすること、そして独自の合成手法により完全な超伝導を実現しました。
- その超伝導物質に対し、独自の超高感度装置を駆使して、従来の定説を超えるカラクリで超伝導となっていることを実証しました。
研究内容の詳細
従来の定説を超える超伝導-独自の超高感度装置で実証-(PDF:839KB)
論文情報
【掲載誌】Applied Physics Express
【論文タイトル】Nuclear-spin evidence of insulating and antiferromagnetic state of CuO2 planes in superconducting Pr2Ba4Cu7O15-δ
【著者】Sotaro Nishioka, Susumu Sasaki, Shunsaku Nakagawa, Mitsuharu Yashima, Hidekazu Mukuda, Mamoru Yogi, Jun-ich Shimoyama
【doi】10.35848/1882-0786/ac4533
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