筋線維の構造維持に必要な新規遺伝子を発見-ジストニン-b遺伝子変異により遅発性ミオパチーと心筋症を発症する-
本学大学院医歯学総合研究科脳機能形態学分野の吉岡望助教と竹林浩秀教授、岩手医科大学生理学講座病態生理学分野の黒瀬雅之教授らの研究グループは、筋肉特異的に発現するジストニン-b遺伝子変異マウスを作製することにより、タンパク質凝集体を特徴とする遅発性の筋疾患(ミオパチー)と心筋症が発症することを明らかにしました。ジストニン遺伝子産物には主に3種類のアイソフォーム(a, b, e)があり、これまでに神経型のジストニン-aと皮膚型のジストニン-eについては機能が明らかになっていました。しかし、筋肉型のジストニン-bの機能は不明のままでした。本成果を契機として、筋組織の恒常性維持に寄与する新たな分子機序の解明や、ジストニン-b遺伝子変異を原因とする新しい遺伝性筋疾患や心筋症の発見につながると期待されます。
本研究は、オープンアクセス科学ジャーナルの『eLife』に2022年8月9日に掲載されました。本研究は、本学大学院医歯学総合研究科組織学分野(芝田晋介教授)と同研究科バイオインフォマティクス分野(奥田修二郎教授)、国立精神?神経医療研究センター(西野一三部長)、新潟県立看護大学(堀江正男教授)、慶應義塾大学医学部電子顕微鏡室との共同研究として実施されました。
本研究成果のポイント
- ゲノム編集法によりジストニン-bに特異的な遺伝子改変マウスを作製した。
- ジストニン-b遺伝子変異マウスは、遅発性のミオパチーと心筋症を発症した。
- 筋線維の病理学的変化として、特徴的なタンパク質凝集体を見出した。
研究内容の詳細
筋線維の構造維持に必要な新規遺伝子を発見-ジストニン-b遺伝子変異により遅発性ミオパチーと心筋症を発症する-(PDF:0.8MB)
論文情報
【掲載誌】eLife
【論文タイトル】Isoform-specific mutation in Dystonin-b gene causes late-onset protein aggregate myopathy and cardiomyopathy
【著者】Nozomu Yoshioka(吉岡望), Masayuki Kurose(黒瀬雅之), Masato Yano(矢野真人), Dang Minh Tran(チャン ミン ダン), Shujiro Okuda(奥田修二郎), Yukiko Mori-Ochiai(森-落合由紀子), Masao Horie(堀江正男), Toshihiro Nagai(永井俊弘), Ichizo Nishino(西野一三), Shinsuke Shibata(芝田晋介), Hirohide Takebayashi(竹林浩秀)
【doi】10.7554/eLife.78419
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp