大腸癌の遺伝子変異を予測する人工知能を開発
本学大学院医歯学総合研究科消化器?一般外科学分野の若井俊文教授、島田能史講師、医学部メディカルAIセンターの奥田修二郎教授らの研究グループは、大腸癌の病理標本スライドを深層学習することによって、大腸癌の遺伝子変異を予測する人工知能を開発しました。この人工知能は、癌の遺伝子解析にまつわるコスト問題を解決し、大腸癌の個別化治療を推進する上で極めて重要です。本研究成果はSpringer社の科学雑誌「Journal of Gastroenterology」に掲載されました。
なお、本研究の一部は、デンカ株式会社との共同研究で行われました。
本研究成果のポイント
- 大腸癌の病理標本スライドを「人間の目」で観察すると、遺伝子変異の量が非常に多い癌であるTumor mutational burden-high(TMB-H)(※1)では、特徴的な病理組織像(腫瘍内リンパ球浸潤)が認められました。
- 大腸癌の病理標本スライドを深層学習することによって、TMB-Hを予測する「人工知能」を開発しました。
- 今回開発した「人工知能」は、大腸癌TMB-Hの予測精度において、「人間の目」と同等かそれ以上であると考えられました。
【用語解説】
(※1)Tumor mutational burden:
癌に生じた遺伝子変異のおおよその量を表します。また、Tumor mutational burden-high(TMB-H)は遺伝子変異の量が非常に多い癌を表し、Tumor mutational burden-low(TMB-L)は遺伝子変異の量が中等度から少量の癌を表します。
研究内容の詳細
大腸癌の遺伝子変異を予測する人工知能を開発(PDF:719KB)
論文情報
【掲載誌】Journal of Gastroenterology
【論文タイトル】Histopathological characteristics and artificial intelligence for predicting tumor mutational burden-high colorectal cancer
【著者】Yoshifumi Shimada, Shujiro Okuda, Yu Watanabe, Yosuke Tajima, Masayuki Nagahashi, Hiroshi Ichikawa, Masato Nakano, Jun Sakata, Yasumasa Takii, Takashi Kawasaki, Kei-Ichi Homma, Tomohiro Kamori, Eiji Oki, Yiwei Ling, Shiho Takeuchi, Toshifumi Wakai
【doi】10.1007/s00535-021-01789-w
本件に関するお問い合わせ先
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