歯工連携による口の中の傷を治す材料の開発 -ヒトの構造を模倣するものつくり-
本学大学院医歯学総合研究科生体組織再生工学分野の泉健次教授、本学医歯学総合病院小児?障がい者歯科の鈴木絢子医員らの研究グループは、早稲田大学ナノライフ創新研究機構の水野潤研究院教授、岸本一真(学部4年生)、および多木化学株式会社(兵庫県加古川市)との歯工連携により、魚コラーゲン製の移植材料に、ヒトの口腔粘膜特有の波状の構造を付与する技術を確立し、口の中の傷をより良く治す可能性がある新しい生体材料を開発しました。
本成果は、2020年12?17?(英国時間)に国際学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究成果のポイント
- ヒトの口の粘膜(歯肉)や皮膚は、表皮と結合組織の2層構造(シーツとマットレスのような構造)をしていて、その境界面は波状の構造をしています。しかし、これまで市販されている生体移植材には、波状の構造が付与されていませんでした。
- 歯工連携によって、生体移植材に波状構造(マイクロパターン)を付与する技術を開発、確立しました。
- 魚由来のコラーゲン材料は狂牛病などの未知の伝染性感染症にかかるリスクがなく、安心、安全、安価な生体移植材料なので、将来的な商品化を目指しています。
- この開発をもとに、口の中だけでなく、外の傷も治すことのできる移植材の創出につながることが期待されます。
研究内容の詳細
歯工連携による口の中の傷を治す材料の開発 -ヒトの構造を模倣するものつくり-(PDF:2.2MB)
論文情報
【掲載誌】Scientific Reports
【論文タイトル】Manufacturing micropatterned collagen scaffolds with chemical-crosslinking for development of biomimetic tissue-engineered oral mucosa.(生体模倣した培養口腔粘膜作成用に化学架橋を用いてマイクロパターン化したコラーゲン足場材の作製)
【著者】鈴木絢子、兒玉泰洋、三輪慶人、岸本一真、干川絵美、羽賀健太、佐藤大祐、水野潤、泉健次* *責任著者
【doi】10.1038/s41598-020-79114-3
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