新たな遺伝子ネットワーク解析によりアルツハイマー病関連遺伝子を発見
本学脳研究所遺伝子機能解析学分野の原範和特任助教、宮下哲典准教授、池内健教授は、大阪大学大学院医学系研究科の菊地正隆特任講師、中谷明弘特任教授らの研究グループと、国立長寿医療研究センターの関谷倫子室長、飯島浩一部長とともに、アルツハイマー病患者の死後脳から異なる3つの脳部位(嗅内皮質、前頭皮質、側頭皮質)を取得し、網羅的な遺伝子発現解析を行いました。各遺伝子の発現量データと公共のタンパク質間相互作用ネットワークデータを組み合わせて解析を行った結果、全ての脳部位においてアルツハイマー病の進行とともに遺伝子ネットワークが崩壊していくことを明らかにしました。
今回、研究グループは、遺伝子の発現データとタンパク質間の物理的な相互作用のデータを組み合わせた新しい解析手法を提案しました。この手法を複数のアルツハイマー病患者の死後脳で測定した遺伝子発現データに応用することで、アルツハイマー病の進行に伴う遺伝子ネットワークの変化を推測し、その変化に影響を与える遺伝子を同定しました。
本研究成果により、アルツハイマー病の発症機序の解明に貢献することが期待されます。さらに研究の進展により、新規のアルツハイマー病関連遺伝子探索に有用であり、新規バイオマーカー開発や創薬における標的遺伝子探索等に役立つと期待されます。
本研究成果は、英国科学誌「Human Molecular Genetics」に2020年1月16日(木)に公開されました。
詳しくはこちら(脳研究所WEBサイト掲載PDF:297KB)
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