医学部の日比野浩教授が平成27年度日本医療研究開発機構「革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)」に採択されました
本学医学部の日比野 浩 教授が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の平成27年度 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST) 研究開発領域「メカノバイオロジー(*) 機構の解明による革新的医療機器及び医療技術の創出」の研究開発代表者として採択されました(採択率6.6%,応募数91,採択数6)。
(*メカノバイオロジー:力、熱などの物理的刺激を、分子?細胞内小器官?細胞?組織がどのように感知するのか、刺激に対する生体応答や制御機構がどのように働くのかを解明する、物理学?工学?医学?生物学が融合した新しい研究分野。)
1. 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)について
日本医療研究開発機構(AMED)が、革新的な医薬品や医療機器、医療技術等を創出することを目的に、客観的根拠に基づき国が定めた研究開発目標の下、組織の枠を超えた時限的な研究開発体制を構築して研究を推進する事業で、平成27年4月のAMED発足に伴い、これまでJSTで実施されていたCRESTのライフサイエンス分野が移管されたものです。AMED-CRESTでは、画期的シーズの創出に向けて国際的に高い水準の成果を目指し、研究開発代表者を筆頭とするユニット(研究者集団)で研究を推進します。
2. 研究プロジェクトの概要
課題名:「内耳による音のナノ振動の受容?応答機構の解明と難聴治療への展開」
聴覚はヒトの営みに重要な感覚であり、耳の奥にある内耳の「蝸牛」という臓器で、音が“感覚上皮帯”と組織に引き起こす極めて小さい振動(ナノ振動)が電気信号に変換されることにより始まります。
AMED-CRESTで日比野教授らは、感覚上皮帯により、どのように音振動が受け取られ電気信号に置き換えられるかを、「力」を科学することで理解すると共に、その仕組みの破綻と病気との関係を明らかにします。具体的には、細胞レベルのナノ振動計測と力学数理モデルを駆使して上皮帯特有の振動機構を解明し、それに基づき、上皮帯への物理的な過剰刺激が発症の契機とされる騒音性難聴?加齢性難聴?体液増多を示すメニエール病の病態を動物モデルで探求します。これらの成果により、新概念の設計による創薬や、現在の人工内耳の欠点を補う未来型埋め込み聴覚デバイスの開発など、難聴治療への貢献を目指します。
研究開発の実現のために、光コム技術による断層イメージング装置?解析方法を創出する本学の崔 森悦 助教(工学部)、MEMS聴覚デバイスの基盤技術を確立する大阪大学の川野 聡恭 教授(基礎工学研究科)らと、これまでの学際的共同研究を基盤に強力な研究ユニットを構築します。
研究代表者 医学部 日比野浩教授 |
3.研究開発の将来展開
多くが原因不明である難聴の病態理解や治療法を、メカノバイオロジーに根ざして切り拓く他、生体における多様な物理的刺激の受容?応答機構を支配する普遍原理の抽出も期待され、生命科学を深化させます。また、断層イメージング装置は、超高解像度の光エコーとして臨床応用に直結するのみならず、機能性多層膜フィルムの精密評価などの産業分野への応用も期待できます。
日比野教授が「新潟大学超域学術院」を基盤として積み重ねてきた医工連携による内耳研究は、本学を代表する先駆的研究プロジェクトとして、日本発のメカノバイオロジーの発展に大きく貢献します。
関連リンク
平成27年度「革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST、PRIME)」採択課題
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