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平成26年度卒業式 卒業生代表答辞

2015年03月30日 月曜日 トピックス

強い風が吹き荒れる新潟の冬も,次第に寒さが緩み,柔らかな春の訪れが全身に感じられる季節となりました。

本日はご多忙の中,髙橋学長をはじめとする諸先生方,またご来賓の皆様のご臨席を賜り,私たち卒業生のために盛大な式典を挙行して頂きまして,誠にありがとうございます。このような栄えある式に臨み,卒業生一同,心より御礼申し上げます。私たちは,ただ今髙橋学長から頂いた励ましのお言葉を胸に刻み,身の引き締まるような思いでいます。

振り返れば四年前の三月,忘れもしない東日本大震災に見舞われました。想像を遥かに超える自然災害によって,私たちは多くのかけがえのないものを失い,人間の力がいかに無力であるかを思い知りました。本来,この会場で行われるはずであった私たちの入学式は中止となり,余震が続く中,親元を離れての生活に一層の心細さを感じたことが,昨日のことのように思い出されます。こうして,震災の傷が癒えないまま,不安とともに私たちの大学生活は幕を開けました。

入学当初,広い五十嵐キャンパスに圧倒され,これまでとは違う自由な環境に戸惑うことが多くありました。実は,当時の私には他に目指していた大学があり,自分がなぜ今ここにいるのかと自問自答を繰り返す日々の中で,将来にあまり希望を見出せずにいました。そのような時,私に新たな目指すべき道を指し示してくれたのは,新潟大学で出会った様々な人達でした。
私は,一年次から所属していたサークルを通し,地域の方との結びつきのなかで,多くの貴重な経験をさせて頂きました。ある時は,子どもたちと共に田植えをしたり,また餅つきをしたりと自然豊かな新潟の魅力を肌で感じながら,人と人とのつながりが活力をもたらすことを知りました。また,勉学においては,先生方が熱意を込めて学ぶ楽しさを伝えてくださいました。卒業研究に取り組む際には,「どんな些細なことでも良いから,これだけは誰よりも自分が詳しいと言えるようになれ」という言葉を投げかけてくださると同時に,視野を広げる豊かな知識を授けて深い学びの世界へと導いてくださいました。私は,学問のおもしろさに魅了され,生涯にわたって学び続ける姿勢を身につけることができたように思います。そうした学問の傍ら,卒業後の進路を考える時期となり,私は教員を目指すことを決意しました。教員採用試験に向けて奮闘した日々を振り返ると,そこには常に仲間の存在があり,もしも自分一人で立ち向かっていたならば,決して夢は叶わなかったと感じています。志を共にする仲間は,何よりも大切な存在でありました。時には熱く将来を語り合い,時には自由を謳歌した仲間たち,この仲間たちと過ごした時間が,これからの自分自身の糧となることは,疑う余地もありません。
こうして思い返してみると,入学当初の不安な気持ちはいつしか消え,大学は私の大切な居場所となっていました。多くの人との巡り合わせを,心から幸せに思うと同時に,新潟大学で過ごした日々を,強く誇りに思います。
また,ここでどうしても触れておきたいのは,家族の存在です。大学生活の中で様々な岐路に立たされた時,どのような選択をしても常に味方でいてくれたのは,家族でした。今,私がここに立っていられるのも,こうした家族の支えがあったからこそです。多くの心配をかけながらも,最後まで私たちのことを第一に考えてくれた家族には,感謝の気持ちでいっぱいです。

さて,被災地では復興が進む一方,依然として多くの課題が残されています。しかし,皆で知恵を絞り,力を合わせた時,解決し得ない問題は一つとしてないと考えます。私たちは,新潟大学で得た人とのつながりをこれからも大切にしながら,心も体も健康で,絶えず努力する気持ちを忘れず,一歩ずつ歩んでいくことを約束いたします。

最後になりますが,新潟大学の学生として勉学をはじめとする様々な活動を行い,今後の人生の礎を築くことができたのは,私たちを支えて下さった多くの方々のおかげです。未熟な私たちを教育してくださった教職員の皆様,手本となってくださった先輩方,慕ってくれたたくさんの後輩,苦楽を共にした仲間たち,温かく見守ってくださった地域の皆様,心の支えとなってくれた家族,すべての皆様に卒業生を代表して,改めて御礼申し上げます。そして,後輩の皆様のご活躍と新潟大学のますますのご発展を願い,ここに答辞とさせて頂きます。

 

平成27年3月23日
卒業生代表
教育学部学校教員養成課程 長沢緑

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