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日本農芸化学会2014年度大会で大学院自然科学研究科の学生がトピックス賞を受賞しました

2014年05月01日 木曜日 研究成果

平成26年5月1日

2014年3月27日~30日まで開催された日本農芸化学会2014年度大会において、大学院自然科学研究科(農学系)1年 上田大次郎君の発表がトピックス賞を受賞しました(演者:上田大次郎?星野力?佐藤努、演題:スクアレンの両末端環化:オノセロイド合成酵素の初めての同定および龍涎香主成分ambreinの酵素合成)。トピックス賞は、社会的インパクト、農芸化学らしさ、科学的レベルなどの観点のもと、日本農芸化学会大会実行委員会と広報委員会によって選定されます。本大会では約2,000題から本研究を含む27題が対象となりました。詳細な内容は以下の通りです。

研究の成果の概要

100種類以上の骨格をもつ多種多様なトリテルペンの合成酵素は数多く見出されてきていましたが、スクアレンの両末端環化によって生合成されるオノセロイド(注1)の合成酵素は発見されていませんでした。今回、真正細菌Bacillus megateriumに存在する二機能性トリテルペン/セスクアテルペン(注2)合成酵素(Bme-TC)が、オノセロイド合成酵素としての新たな機能をもつことを明らかにしました。さらに、その新機能を利用して、“幻の香り”とも呼ばれる龍涎香(マッコウクジラの結石由来の高級香料)の主成分 ambreinを容易に入手可能なスクアレンから、2つの酵素(Bme-TCと変異型スクアレンーホペン環化酵素)によって合成することに成功しました。

研究のトピックス性

オノセロイドの生合成メカニズムは全く分かっていませんでしたが、1つの酵素によって片側末端が環化した中間体を経て生合成されることを初めて証明しました。さらに、商業捕鯨が禁止されている現代において、自然界からの入手が極めて困難なambreinを酵素合成することに初めて成功しました。

研究の波及効果

龍涎香は、最も高価で貴重な天然の香り素材の一つとして古くから知られています(香りの本体はambreinが酸化分解した複数の成分)。また、ambreinには媚薬効果のようなユニークな生理活性も知られています。将来、本研究を契機にambreinの大量製造が達成されたならば、“幻の香り”を身近に利用することが可能となり、また新薬開発につながることも期待されます。

参考資料

D.Ueda, T. Hoshinio, T. Sato, J. Am. Chem. Soc. 135, 18335-18338 (2013).
特許出願中(特願2013-184143).
<用語説明>
注1 オノセロイド:スクアレンの両末端環化によって生合成されるトリテルペン
注2 セスクアテルペン:最近我々が提案した炭素数35個のテルペノイド(イソプレ ノイド)の分類名

260417nougaku

本件に関するお問合せ先
新潟大学総務部総務課広報室
電話 025-262-7000
FAX 025-262-6539

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