開会の挨拶　髙橋　姿　新潟大学長

講　演

（1）異分野連携による内耳聴覚研究とその展開

日比野 浩　氏　　新潟大学大学院 医歯学総合研究科 分子生理学分野 教授

【概　要】

我々を取り巻く環境は，様々な音にあふれています。それを受容?分析する聴覚は，ヒトをはじめとした動物の営みにとって不可欠な感覚です。我が国では，実に人口の一割が難聴に罹患しています。認知症が難聴で増悪するとの報告もあります。しかし，この病気の有効な診断法や治療法の開発は遅延しており，それを支える基礎研究の成果が待ち望まれています。
機械的な刺激である音は，内耳の「蝸牛」と呼ばれる臓器に到達し，その中の“感覚細胞層”にナノレベルの振動を惹起します。そして，この細胞層により電気信号に変換されることで，ケーブルやコンピュータに例えられる神経線維や脳へと伝えられます。従って，感覚細胞層は，トランスデューサとして働きます。その他に，蝸牛には，音を効率的に捉えるため，フーリエ変換器や圧電素子，生体電池が備わっています。いずれも，繊細かつ小さな装置によって担われています。
内耳蝸牛は，これらの部品がうまく組み合わさって機能しています。蝸牛の微小な生命現象を可視化?定量し，その複雑な仕組みを解くには，「生きた動物」に特化した計測技術を創出する必要があります。本講演では，以上を踏まえて我々が取り組んできた異分野融合研究と，その展開をご紹介します。

(2) 現場から見た経済報道

川瀬　治　氏　日刊工業新聞社編集局中小企業部長

【概　要】

新聞，雑誌，ラジオ，テレビのいわゆるマス４媒体に加え，近年では報道界におけるインターネットの存在感が日増しに高まっています。ただ，インターネットのニュースもコンテンツは新聞社などの報道機関が発信しているものが大半です。
ニュースはどのようにつくられ，どのように伝わっていくのか。記者クラブ制度や報道協定，オフレコ取材，夜回り（夜討ち）?朝駆け取材など，日本独自の報道機関の取材活動について，取材する現場からの視点でお話しをさせていただければ幸いです。また，皆さまが感心のありそうな直近のニュースについて，私なりのコメントもさせていただきます。
本講演は，私が大上段に構えて話すのではなく，皆さまと意見を交換させていただく場にさせていただければと思います。そのため，質疑応答には従来より時間を割かせていただきたいと考えています。

閉会の挨拶　　三輪　正明　　新潟大学東京イノベーションクラブ会長

※事前申し込み制で，どなたでも聴講可能です。