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学長就任2年目にあたって

学長メッセージ

2014年2月の学長就任から1年が経過し,多忙な毎日を送る髙橋 姿学長に現在までの成果や今後の取組みについて話を聞きました。

研究-将来性の高い研究?プロジェクトをサポート

どの分野においても研究方針を見定め,その成果を短期間で求めるのはなかなか難しいところがあります。就任後,研究担当の理事に,現在の本学の各研究レベルがどの程度で,どの分野に強みや特色があるのかを分析してもらいました。今後は,その次のステップとして大学をあげて重点的に支援する分野を定め,外部資金獲得の可能性のある将来性の高い研究?プロジェクトをサポートしていきます。

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特に力を入れたいのは,新潟大学らしい研究,本学ならではのオンリーワンな研究を中心にして重点的に取り組むこと。具体的な例をあげれば,脳神経研究や口 腔保健は本学を代表する大きな特徴のひとつです。そこに異分野融合研究推進体制を加えて,健康長寿社会に貢献したいと思います。さらに,朱鷺をシンボルと した佐渡の自然再生プロジェクトもそうですね。現在,佐渡には学部や専門分野が異なる三つの研究施設があります。それらがフィールドを共にすることによ り,関連性を高め,三施設が有機的に繋がっていくことで,持続可能な共生社会形成への総合的な研究へと発展してもらいます。その他,光る研究にも注目して 行きます。

学生-自分で自分の才能に限界を作らない

キャンパスミーティングをはじめ,様々な場所で優秀で積極性のある学生と会い,直に話す機会を設けてもらいました。彼らが取り組み,考え,発表している様子を目の当たりにすると,いかに自分の人生を真剣に考えているかが伝わってきます。また,北京師範大学を訪れた際には,本学から留学している学生が,現地の教員や学生と交流する姿を間近に見て,驚くほど成長していると感じました。

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ほかにもクラブやボランティアなどで活躍している学生とも多く接しましたが,中でも「ダブルホーム」は素晴らしい取り組みだと実感しました。彼らは大学に 閉じこもらず,社会や地域という学外のフィールドに出て,いろいろな社会人と話をする機会を作り,目的を持って活動しています。つまり彼らは学問以外にも ミッションを持つわけです。この取り組みはもっと活性化した方がいいと思いますね。大学生活を送る上で心がけてほしいのは,自分で自分の才能に限界を作ら ないということ。学生には「自分はまだまだできるという気持ちを常に持って,自分の新しい可能性を獲得してもらいたいと思います。控えめで慎重派の学生こ そ,「ダブルホーム」を通してアグレッシブな部分も育ててほしい。教員と職員が協働して学生を支援していくことで「ダブルホーム」は一層意義を増していく と思います。

グローバル人材育成-真の意味でのコミュニケーション能力が必要

「グローバル人材」というと,世界を舞台に活躍する人間というイメージを持ちますが,実際に本学を卒業した全員が世界を相手に活動するわけではありません。一方,ローカルで仕事をするからといって,グローバルな視点や感覚が不要(いらない)かというと,決してそうではありません。グローバルな考えを持てば自然と目の前の仕事への取り組み方も変わってくるはず。グローバル性というものは,ものの考え方や発想にこそ必要です。キャンパスにおいて身近な例をあげれば,学生は海外からの留学生と交流することにより,モノには様々な見方があることを学ぶことができます。その体験は必ず学びのモチベーションを上げてくれるでしょう。外国の方と親密になると,皆さんは日本の文化について質問をしてきます。いくら海外の知識があり外国語で会話ができても,自国のことを知らないと外国の方とのコミュニケーションは難しい。語学的な会話力ではなく,真の意味でのコミュニケーション能力が必要だと思います。

また,研究におけるグローバルという観点では,欧米は依然として大切な研究パートナーではありますが,新潟大学らしさを求めると環東アジア地域の国々との関係は極めて重要になります。20年来の交流と実績の上に成り立っている医学部とロシアの学生交流や,農学部が取り組んでいる大豆と麦の研究など,これまで築き上げてきた教育研究の実績に加えて新潟という地理的な位置を考えた上でも環東アジアの大学?研究機関との研究はますます強化していくべきと考えています。そのためにも,学生達にはグローバルな視点を持つために,まず自国のことを知ってもらいたいと思います。

防災の拠点-地域貢献の一つとして

近年多発する自然災害や人的災害への対策は,本学にとっても非常に重要です。キャンパスを含めた地域の危機管理を徹底し,安全?安心な学び舎としてのキャンパスを創ることにも注力します。実際,被害をミニマムに抑え,迅速な復興体制を支援する機関は,日本海側にはまだまだ少ない。本学が設置した危機管理室や災害?復興科学研究所を核にし,地方自治体や国内の他の研究機関とも連携をさらに強化しながら,日本海側地域における防災減災および復興の拠点となるべく努めていきたいと思います。

おわりに

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私は昭和51年に本学医学部を卒業したOBであり,以来,40年に渡って本学の教育?研究に携わってきました。学生は皆,私にとって後輩。彼らを見ている と過去の未熟だった自分が思い起こされます。学生には私たちの世代よりももっと上の存在へと大きく成長してもらいたい。青春時代を過ごしたキャンパスで学 長という立場になった私は,今,新潟大学全体に関わる先輩として,そういう考えを持っています。