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平成25年度卒業式 学長告辞

学長メッセージ

新潟の豊かな自然が織りなす季節の節目を迎え,本日ここに,関係各位のご臨席のもと,平成25年度の新潟大学卒業式を盛大に挙行できますことは,卒業生ならびに修了生の皆さんはもとより,新潟大学にとりましても大きな喜びであります。

ただいま,学部卒業生2,267名,大学院修了生769名,学位論文提出者6名,養護教諭特別別科修了生37名,計3,079名の皆さんに学位記ならびに修了証書を授与いたしました。

卒業生?修了生の皆さんが,本学でかけがえのない学生生活を過ごし,本日,めでたく,卒業ならびに修了されたことに,新潟大学を代表して,心からお祝いを申し上げます。
皆さんの中には,学問一筋に切磋琢磨してきた学生だけでなく,仕事と勉学とを両立させながら,多くの制約を克服されてきた社会人学生や,言葉や生活習慣の違いをのり越えて今日の日を迎えた留学生もいます。いずれの立場でも,さまざまな困難を乗り越えながら,卒業という目的を立派に全うされた皆さんの努力に対し,称賛の拍手を送りたいと思います。
今日の日を待ちわび,これまで長い間支援されてこられたご家族?保護者の皆様にも,お祝いを申し上げます。また,本日,ご多忙のなか,ご臨席賜りました多数の方々には,心から御礼を申し上げます。

今,この会場の卒業生ならびに修了生の皆さんは,大きなことをやり遂げた充実感に満ち,晴れがましい気持ちと,新たな旅立ちへの希望の中で,感慨無量のことと思います。本学に入学した当時の思いに立ち返って学生生活を振り返り,これまで自分自身がどのように成長したのか,じっくり思い起こすのが今日の日ではないでしょうか。そのような中で皆さんにお願いしたいことは,これまで自分を育て,支えてくれた両親をはじめとする,皆さんの周りの方々に対する感謝の気持ちを,素直に伝えていただきたいということです。皆さんが,本日,卒業式という日を迎えることができたのは,決して皆さん個人だけの努力ではないということを,今一度確認して卒業していただきたいと思います。

さて,今月の11日には東日本大震災から三年が経過しました。大震災及びその後の原発事故の傷跡は深く,被災地の復興はまだまだこれからです。東日本大震災の経験を申すまでもなく,大地震?津波?豪雨?豪雪,その他の自然災害,さらにはエネルギー問題や食糧問題など,人類の全体の生存と尊厳を揺るがす深刻な事柄に加え,世界的な経済不安や国家間の紛争等も依然として続いています。一方では,科学技術?医療?教育等,幅広い分野において,グローバル化が進展し,それらに伴って社会は多様な要素が複雑に絡み合い,変化しています。

このような社会において,皆さんは,我が国の未来を背負って立つ「次世代の力」にならなくてはなりません。「グローバル化する世の中をリードする人材として活躍してほしい。」との強い期待が,皆さん一人一人に寄せられています。新しい門出にあたり,将来への夢や希望と共に不安もあると思います。しかし,皆さんが,新潟大学で獲得した広い視野,深い教養と高い専門性など,努力してきたことを強力な武器にして,自信と情熱をもって社会で活躍していただきたいと思います。新潟大学での学生生活で培われたすべてが,皆さんのかけがえのない財産となって,これからの人生を豊かで,活力あるものにしてくれると確信しています。

今年は,ソチ?冬季オリンピック?パラリンピックという大きなイベントがあり,多くの人々が日本の成績に一喜一憂しました。事前に2020年の東京オリンピックの開催が決定したことも,この冬季オリンピックを盛り上げました。その結果が,長野オリンピックに次ぐ8個のメダル獲得につながったと思われます。印象に残ったのは,若手からベテランまでの幅広い年齢層の選手たちのメダル獲得でした。その中で,新潟県からは,平野歩夢(あゆむ)選手がスノーボードハーフパイプで銀,小野塚彩那(あやな)選手がスキーハーフパイプで銅,清水礼留飛(れるひ)選手がジャンプ団体で銅と,日本が獲得した8つのメダルの内,新潟県から選出された選手が3つのメダルを獲得したことが強く印象に残りました。
また,本学からは人文学部出身の星野純子選手はオリンピック?モーグルスキー競技に出場しました。ソチ?オリンピックでは良い結果が得られませんでしたが,その後のワールドカップでは6位,3位と活躍しています。4年後の冬季オリンピックの活躍が今から期待されます。また,本学工学部出身の出来島桃子選手はパラリンピック?バイアスロン?クロスカントリー競技の6種目に出場し,見事4種目で入賞を果たしました。
この様に,オリンピック?パラリンピックに出場して華々しく活躍する選手にも,無名の選手時代があります。日頃の弛まぬ切磋琢磨,精進努力を継続して,小さな舞台から徐々に大きな晴れ舞台へと昇り,最終的に大きな栄光を獲得していることは言うまでもありません。
私はそこに,本日新潟大学を卒業し,社会という大海原に出航する皆さんの将来を見る思いがします。その航海は決して安易なものではなく,乗り出す船も決して大きなものではありません。しかし,新潟大学を卒業した皆さんの絶え間ない努力により,乗っている船も大きく安定し,海も次第に穏やかになり,視界も大きく広がると想像されます。どうぞ,本学を卒業したことに大きなプライドを持ち,次々に迫る大波に対して,新潟大学で獲得した広い視野,深い教養と高い専門性などを強力な武器にして,諦めることなく,乗り切ってください。
その時,皆さんの母校新潟大学が,少しでもお役にたつ可能性があるようでしたら,どうぞ遠慮なく相談してください。われわれ教職員はいつまでも皆さんのサポーターです。そして同時に,これからの皆さんは本学の同窓会員でもあります。本学の同窓生として新潟大学を支援していただき,皆さんの後輩を励ましていただきたいと思います。

最後に,卒業生,修了生の皆さんが,自信と誇りをもって社会に大きく羽ばたき,その前途が幸多いものになるよう,心より祈念して,私の告辞とさせていただきます。

平成26年3月24日
新潟大学長 髙橋 姿